スマホ画面の「4G」「5G」「H」などの文字はなにを意味している?
スマホの画面の右上などに、「4G」「5G」「H」「LTE」といった小さな文字が出ていることがあります。なんとなく見たことはあっても、「くわしい意味まではよく分からない」という人も多いと思います。
これらの文字は、スマホがいま「どんな種類の回線でインターネットにつながっているか」をあらわしています。むずかしい専門用語というより、「通信の種類を示すラベル」のようなイメージです。
たとえば、次のような感じです。
- 5G:新しい方式で、速さのイメージが高い通信
- 4G(LTE):現在いちばん広く使われている、ふつう〜速めの通信
- 3G/H/H+:ひとつ前の世代の通信方式で、ややひかえめな速さ
- E/G:古い方式で、文字中心のやり取り向きの、かなり遅めの通信
スマホの機種や契約している会社によっても、表示される文字は少しちがいます。「4G」とだけ出ることもあれば、「4G LTE」「LTE」といった表示になることもあります。
また、いつも必ず文字が出るとは限りません。Wi-Fiにつながっているときは、通信マークが小さく表示されたり、隠れてしまっていたりすることもあります。表示だけを見て、すぐに「おかしい」と心配しなくても大丈夫です。
まずは、「この文字たちは、いま使っているインターネット回線の大まかな種類を教えてくれている」とだけ、おさえておくとよいでしょう。
通信マークが出ていないときは、インターネットはまったく使えないの?
通信マークが出ていないときでも、必ずしも「インターネットが一切使えない」という意味ではありません。
- Wi-Fiだけでインターネットにつながっていて、モバイル回線の表示が目立たない
- 機種の設定や表示の仕様で、アイコンがまとめて表示されている
- 一時的に電波が弱くなっていて、「圏外」などの表示に切り替わっている
いっぽうで、通信マークもWi-Fiマークも何も出ていない場合は、インターネットが使えない状態になっている可能性があります。
このように、「通信マークが出ていない = 必ずインターネットが使えない」というわけではなく、「表示のしかたや、つながり方によって見え方が変わる」と考えておくと安心です。
通話・データ通信・Wi-Fiのちがいをやさしく整理
通信マークの意味を理解するためには、「通話」「データ通信」「Wi-Fi」という3つの考え方を分けておくと分かりやすくなります。
まずは、それぞれのざっくりしたイメージです。
- 通話:電話アプリで、声をやり取りする機能
- データ通信:インターネットを使って、アプリやブラウザでデータをやり取りする機能
- Wi-Fi:家のルーターやお店のアクセスポイントなどを使って、インターネットにつなぐ仕組み
スマホは、ふだん「携帯電話会社の回線(モバイル回線)」を通して、通話もデータ通信も行っています。このとき、インターネットにつながっている状態をあらわすのが「4G」「5G」「H」などの通信マークです。
いっぽう、家や職場などのWi-Fiに接続しているときは、スマホはWi-Fiを優先してインターネットにつながります。この場合、画面には「扇形のWi-Fiマーク」が出ていて、4Gや5Gの文字は小さく表示されたり、見えにくくなったりします。
通話についても、しくみはいくつかありますが、ここでは「スマホの通話アイコンが出ているときは、電話回線としてつながっている」と考えれば十分です。
だいじなのは、「電話ができるかどうか」と「インターネットが速く使えるかどうか」は、完全には同じではないという点です。
- 電話はできるが、インターネットはかなり遅い
- インターネットは使えるが、通話がうまくつながらない
といった状態も、状況によっては起こりえます。この記事では、主に「インターネット側」の状態を示す通信マークに注目して説明していきます。
通話のマークそのものが気になるときは、通話アイコンに斜線が出るときの原因と対処をまとめた記事も参考になります。
Wi-Fiマークが出ていれば、「4G」や「5G」の表示は気にしなくても大丈夫?
多くの場合、Wi-Fiマークが出ているときは、インターネットへの出入り口としてWi-Fiが使われています。そのため、4Gや5Gの表示は、あまり気にしなくてもよい場面が多いです。
- Wi-Fiの電波が弱く、実際にはうまく通信できていない
- 公共のWi-Fiなどで、回線が混み合っていて遅く感じる
- 特定のアプリやサービスが、モバイル回線での利用を前提にしている
このため、Wi-Fiマークが出ていても、「必ず速くて安定している」とは限りません。動画が止まりやすい・読み込みが遅いと感じたら、通信マークやWi-Fiマークを見比べながら、「いまどちらでつながっているのか」を軽く確認すると状況を整理しやすくなります。
よく見る通信マークの種類と意味一覧(4G/5G/LTE/H/E など)
ここでは、スマホでよく見かける通信マークの種類と、おおまかな意味を一覧で整理します。実際の速さは、場所や時間帯によって大きく変わりますので、あくまで「イメージ」として読んでください。
まずは、代表的なマークをまとめた表です。
| マークの例 | 速さのイメージ | 出やすい場面の例 |
|---|---|---|
| 5G | とても速い | 対応エリアの駅前や市街地など |
| 4G / 4G LTE / LTE | ふつう〜速め | 多くの市街地・住宅地・移動中など |
| 3G | ややひかえめ | 一部のエリアや古い機種など |
| H / H+ | 3Gの中ではやや速め | 3Gエリアの中でも比較的電波がよい場所 |
| E | かなり遅め | 山間部や建物のすき間など電波が弱い場所 |
| G | とても遅め | ごく一部の古い方式のみつながる場所 |
| 圏外 | インターネット不可 | 地下深くや山奥など、電波が届いていない場所 |
つぎに、それぞれを少しだけくわしく見ていきます。
5G
5Gは、新しい世代の通信方式で、「速い通信ができる可能性がある」回線です。対応エリアでは、動画の視聴や大きなファイルのダウンロードなどが、よりスムーズに行えることが期待されています。
ただし、5Gの電波が使える場所は、地域や時期によってちがいます。5G対応のスマホを持っていても、実際には多くの時間を4Gで過ごしている、というケースもめずらしくありません。
4G/4G LTE/LTE
現在、もっとも広く使われているのが4G(LTE)です。市街地や住宅地など、ふだんの生活圏では、4Gの表示になっていることが多いでしょう。
4Gは、多くの人が日常的な利用(動画、SNS、ニュース、地図など)をするのに足りる、バランスのよい通信方式です。時間帯や混み具合によって速さは変わりますが、「ふつう〜速め」と考えておけばイメージしやすくなります。
3G
3Gは、4Gより前の世代の通信方式です。国や地域によっては、順番に終了しているところもありますが、説明として名前を目にすることがあります。
3Gの表示になっているときは、4Gに比べて、インターネットの読み込みがややゆっくりに感じられることがあります。メールの送受信や、文字中心のニュースの閲覧などは問題なくできることが多いですが、動画や大きな画像が多いページでは、待ち時間が長くなりやすいイメージです。
H/H+
HやH+は、3G回線のなかでも、比較的速めの通信方式をあらわすマークとして使われます。表示のしかたは、国や通信会社、機種によってちがいます。
イメージとしては、「3Gの中で、やや速めに調整されている状態」と考えると分かりやすいでしょう。4Gほどではありませんが、メールやSNS、ふつうのWebページの閲覧などは、実用上大きな問題なく使える場面も多いです。
E/G
EやGは、かなり古い方式の通信が使われている状態をあらわします。電波の届き方や設備の状況によって、この表示になることがあります。
この状態では、文字中心のやり取りや、簡単なメッセージの送受信などはできることもありますが、画像や動画が多いページを読むときは、とても時間がかかることがあります。「今は電波が弱い場所なのだな」と、ひとまず状況を知る目安としてとらえるとよいでしょう。
圏外
圏外は、携帯電話会社の電波が届いていない、またはとても弱くて通信に使えない状態を意味します。山奥や地下、建物の奥の方などでは、圏外になることがあります。
圏外の表示のときは、モバイル回線を使った通話やインターネット通信は、基本的に行えません。Wi-Fiが使える場所であれば、Wi-Fiに接続することで、インターネットだけは利用できる場合もあります。
「H」や「H+」と「4G」では、どちらが速い?体感で大きく違うものなの?
おおまかな目安としては、「4Gの方が、HやH+よりも速いことが多い」と考えられます。ただし、実際の体感は、場所や時間帯、電波の届き方によって大きく変わります。
たとえば、4Gの表示でも電波が弱い場所では、読み込みが遅く感じることがありますし、Hの表示でも電波が安定している場所では、メールやSNSなどの日常的な利用にあまり困らない場合もあります。
そのため、「Hだから必ず遅い」「4Gだから必ず速い」と決めつけるのではなく、「4Gの方が速いことが多いけれど、最終的には電波の状態しだい」といったイメージで考えておくと安心です。
どの通信マークのときに速くて、どの通信マークのときに遅いの?
ここでは、通信マークと、ふだんの使い方を結びつけて考えてみます。あくまで目安ですが、「このマークなら、このくらいのことはしやすい」といったイメージを持っておくと、状況をつかみやすくなります。
動画視聴・ビデオ通話
- 5G:動画視聴やビデオ通話など、たくさんのデータをやり取りする使い方に向いています。
- 4G:多くの場面で、動画視聴やビデオ通話をふつうに利用しやすい速さです。
- 3G/H/H+:設定や画質を下げれば使えることもありますが、読み込みや止まりやすさが気になることがあります。
- E/G:動画視聴やビデオ通話は、かなりむずかしい場面が多いと考えられます。
SNS・ニュース・Webページの閲覧
- 5G/4G:画像の多いページでも、比較的スムーズに読み込みやすいです。
- 3G/H/H+:画像が多いと少し待つことがありますが、文字中心のページなら、あまり困らずに読める場面も多いです。
- E/G:ページによっては、表示まで時間がかかることがあります。
メール・メッセージアプリ
- 5G/4G/3G/H/H+:文字中心のやり取りなら、多くの場面で利用しやすいです。
- E/G:テキストだけの短いメッセージなら送受信できることもありますが、画像や添付ファイルつきのメールでは時間がかかる場合があります。
地図アプリ・経路検索
- 5G/4G:地図の読み込みや、拡大・縮小の操作がしやすい速さです。
- 3G/H/H+:地図の表示に少し時間がかかることもありますが、現在地の確認や経路検索など、基本的な操作はできる場面も多いです。
- E/G:地図の表示が追いつかず、使いづらく感じることがあります。
このように、通信マークによって、「どのくらい待ち時間が発生しやすいか」の目安をつかむことができます。ただし、ここでの内容はあくまで一般的なイメージであり、実際の速さは、場所や時間帯などによって大きく変わります。
「5G対応スマホ」なのに、いつも「4G」としか表示されないのはふつうのこと?
5Gに対応しているスマホでも、いつも必ず5Gの表示になるわけではありません。次のような理由で、4Gのまま表示されていることはよくあります。
- その場所が、まだ5Gの対象エリアではない
- 5Gの電波よりも、4Gの電波の方が安定している
- 契約内容や設定などの影響で、4Gでの接続が優先されている
このため、「5G対応なのに4Gと出ているから、故障にちがいない」と考える必要はありません。5Gのサービス内容やエリアについて気になる場合は、利用している携帯電話会社の案内や、公式の情報を確認すると安心です。
通信マークがよく変わる・不安定なときに考えられる原因
スマホを使っていて、「さっきまで4Gだったのに、3GやHに変わった」「Eになったり4Gに戻ったり、表示がよく変わる」という経験をしたことがある人も多いと思います。
通信マークがよく変わると、不安になってしまうかもしれませんが、実はこれはめずらしいことではありません。スマホは、周りの電波の状態に合わせて、利用しやすい回線を自動的に選びなおしているためです。
通信マークが変わりやすい、よくある場面
通信マークが変わりやすい、代表的な場面をいくつか挙げてみます。
- 電車や車で移動しているとき(基地局と呼ばれる設備のあいだを移動している)
- ビルの中や地下、トンネルの中を行き来するとき
- 山あいの道など、電波の届く範囲がせまい場所を通るとき
- 多くの人が集まる場所や時間帯で、回線の利用が集中しているとき
このような場面では、スマホが「つながりやすい回線」を選びなおすために、マークがこまめに切り替わることがあります。表示が変わること自体は、必ずしも異常をあらわしているわけではありません。
少し注意して見ておきたいサイン
いっぽうで、つぎのような状況が続く場合は、すこし注意して様子を見ておくとよいでしょう。
- 同じ場所で長時間使っているのに、通信マークが頻繁に変わり、そのたびに通信が止まってしまう
- まわりの人のスマホはふつうに使えているのに、自分のスマホだけがよく圏外になる
- 普段は問題ない場所で、特定の時間帯だけ極端につながりにくい状態が続いている
ただし、ここから直接「故障である」と決めることはできません。建物の構造や、利用が集中しやすい時間帯の影響など、さまざまな要因が重なっていることも多いからです。
長い期間にわたって気になる状態が続くときは、契約している携帯電話会社や、購入したお店などに状況を相談すると、確認の手がかりになることがあります。
電車や車で移動しているときに通信マークがコロコロ変わるのは、異常ではなくふつうのこと?
電車や車で移動しているときに、通信マークがこまめに変わるのは、とくにめずらしいことではありません。移動中は、電波を届けている設備の範囲をつぎつぎに通り抜けているため、スマホが自動的に回線を切り替えていると考えられます。
ただし、表示が変わるたびに通信が長時間止まってしまうなど、普段と大きくようすがちがうと感じる場合は、あとで同じ区間を通ったときに、ようすを見比べてみるのも一つの方法です。それでも気になる場合は、無理のない範囲で、公式なサポート窓口に相談すると安心です。
通信が遅いと感じたときに通信マークを手がかりにできるかんたんチェック
最後に、「なんだか通信が遅い」「ページがなかなか開かない」と感じたときに、通信マークを手がかりにできる、かんたんなチェックの流れをまとめます。
ここで紹介するのは、特別な操作をしなくても試しやすい、基本的な確認ポイントです。
1.Wi-Fiかモバイル回線かを確認する
まず、画面にWi-Fiマークが出ているかどうかを見てみます。
- Wi-Fiマークが出ている:家や職場のWi-Fi、公共のWi-Fiなどを使っている
- Wi-Fiマークが出ていない:携帯電話会社の回線(4Gや5Gなど)を使っている
どちらでつながっているかを知るだけでも、「いまはこの回線の状態を見ればよい」と整理しやすくなります。
2.通信マークの種類を見る
つぎに、「4G」「5G」「H」「E」など、どのマークになっているかを確認します。
- 5Gや4G:ふだんより少し遅く感じても、時間帯や混み具合の影響かもしれません
- 3GやH:ややひかえめな速さなので、動画などは待ち時間が長くなりやすいです
- EやG:かなり遅めの状態なので、画像や動画が多いページは開くまで時間がかかることがあります
- 圏外:モバイル回線ではインターネットにつながらない状態です
このとき、「圏外やE/Gであれば、場所を少し変えてみる」「4Gなのにとくに遅いと感じるなら、時間帯を変えてみる」といったように、次の行動を考える手がかりにできます。
3.場所や時間を少し変えてみる
通信マークが圏外やE/Gになっている場合は、窓ぎわや屋外など、電波が届きやすそうな場所に少し移動してみると、4Gなどにつながりなおすことがあります。
また、5Gや4Gでも、時間帯によっては利用が集中して、読み込みが遅く感じられることがあります。少し時間をおいてから、あらためて試してみると、スムーズにつながることもあります。
4.アプリをいったん閉じる・スマホを再起動してみる
アプリを長時間開きっぱなしにしていると、動作が重くなることがあります。いったんアプリを閉じて、もう一度開き直すだけでも、表示が軽くなることがあります。
また、スマホ自体を再起動すると、通信まわりの状態がリセットされて、改善する場合もあります。再起動は、多くのトラブルで試される、基本的な対処の一つです。
5.むずかしい設定をさわる前に、落ち着いて様子を見る
通信が遅く感じられるとき、「設定をあれこれ変えたくなる」こともあるかもしれませんが、むずかしい項目をよく分からないまま変更してしまうと、かえって状況が分かりにくくなることもあります。
まずは、通信マークとWi-Fiマークの状態、場所や時間帯、アプリの動きなどを整理しながら、できる範囲の基本的な確認を進めてみるのがおすすめです。
契約内容を見直すことは、費用や利用条件にも関わる大きな判断になります。通信マークやWi-Fiマークを手がかりにしながら、まずは自分で試せる基本的な確認を行い、それでも不安が残る場合は、公式な窓口に相談しながら、じっくり検討していくと安心です。
通信が遅いとき、すぐに契約プランや携帯電話会社を変えた方がよいの?
通信が遅いと感じたときに、すぐに契約プランや携帯電話会社を変える必要があるとは限りません。場所や時間帯を変えるだけで、体感が大きく変わることもありますし、アプリや端末の状態が影響している場合もあります。
契約内容を見直すことは、費用や利用条件にも関わる大きな判断になります。通信マークやWi-Fiマークを手がかりにしながら、まずは自分で試せる基本的な確認を行い、それでも不安が残る場合は、公式な窓口に相談しながら、じっくり検討していくと安心です。

