格安SIMに乗り換えたあと、「なんだか電話の調子が前より悪い気がする…」と不安になることがあります。通話がとぎれたり、着信が鳴らなかったように感じたりすると、「格安SIMにしたのが失敗だったのかな」と心配になりますよね。
ただ、通話の不調といっても、原因はいくつかに分かれます。スマホ本体の設定で直るものもあれば、格安SIMならではの設定や、電波の入りやすさが関係している場合もあります。
この記事では、格安SIMに乗り換えたあとに「電話の調子が悪いかも」と感じたときに、自分で落ち着いて確認できるポイントを、やさしい言葉でまとめました。設定で直せるところと、相談したほうがよいところを分けて考えられるようにしていきましょう。
格安SIMに変えたあと「電話の調子が悪い」と感じるよくあるケース
まずは、「調子が悪い」と感じるときに、どんな様子が起きているのかを整理してみましょう。自分の状況に近い例がないか、イメージしながら読んでみてください。
よくある声としては、次のようなものがあります。
- 電話をかけてから呼び出し音が鳴るまで、前より長く感じる
- たまに、いつもよりつながるまで時間がかかることがある
- 不在着信だけ残っていて、着信音が鳴らなかったように感じる
- 通話中に声が途切れたり、相手の声が遠く聞こえたりする
- 自分は普通に話しているつもりなのに、相手から「声が小さい」「聞き取りにくい」と言われる
このような症状が出ると、つい「格安SIMに変えたせいだ」と考えてしまいがちです。ただし、必ずしもすべてが格安SIMだけの問題とは限りません。
たとえば、次のような要素も関係していることがあります。
- 使っているスマホの機種や年代
- もともとその場所の電波の入りやすさがあまり良くなかった
- 建物の中や地下など、電波が届きにくい環境で使っている
- 通話をする時間帯に、同じ回線を使う人が多い
大手キャリアから格安SIMに乗り換えると、契約している会社や回線の種類が変わることがあります。そのため、「以前はほとんど気にならなかったけれど、今は時間帯や場所によって気になることが増えた」というケースもありえます。
また、たまたま一度だけ起きた不調と、ほぼ毎回同じような条件で起きる不調では、考え方も少し変わってきます。まずは「いつ・どこで・どんな症状が出ているのか」を、ざっくり頭の中で整理しておくと、このあとのチェックも進めやすくなります。
格安SIMにすると通話の品質は必ず下がりますか？
格安SIMにしたからといって、通話の品質が必ず下がるとは言い切れません。事業者やプラン、利用しているエリア、時間帯、スマホの機種など、いくつかの条件が重なって、通話の感じ方が変わることがあります。
「ほとんど前と変わらない」と感じる人もいれば、「特定の場所や時間帯では気になる」と感じる人もいます。大切なのは、どのような場面で不安を感じているのかをはっきりさせておき、そのうえで設定や環境を一つずつ確認していくことです。
まずはスマホ本体の基本設定をチェックしよう
「格安SIMにしたから通話がおかしい」と決めつける前に、どの端末でも共通する基本的な設定を確認しておきましょう。意外と、ちょっとした設定の変更が原因になっていることもあります。
ここでは、機種に関係なくチェックしやすい項目を中心に紹介します。
まずは、機内モードとモバイルデータ通信の状態を見直します。
- 機内モードがオンになっていないか
- モバイルデータ通信がオフになっていないか
機内モードがオンだと、通話やモバイル通信が止まってしまいます。また、モバイルデータ通信がオフになっていると、データ通信が必要な機能に影響が出る場合があります。一度、設定画面を開いて、これらの項目が意図せずオンになっていないか確認してみてください。
次に、「通話に関する設定」も確認しておきましょう。
- 発信制限や通話の拒否設定が有効になっていないか
- 迷惑電話ブロックの機能で、相手が誤って拒否リストに入っていないか
- 特定の番号からの着信だけが鳴らない設定になっていないか
これらの設定は、知らないうちにオンにしてしまうこともあります。とくに、迷惑電話対策のアプリや機能を使っている場合は、その中の設定もあわせて確認しておくと安心です。
着信音量やサウンドモードも大切なポイントです。
- 本体の音量ボタンで、着信音量が小さくなっていないか
- マナーモードやサイレントモードがオンになっていないか
- バイブレーションのみになっていないか
不在着信だけ残っていて、「そもそも音が鳴っていなかった」と感じるときは、まずこれらの設定を見直してみてください。
さらに、モバイルネットワークの種類についても確認しておきましょう。4G、5G、3Gなどの設定によっては、電波のつかみ方や通話のしやすさに影響が出ることがあります。設定画面で、自分の契約に合ったネットワークの種類が選ばれているかどうかをチェックしてみてください。
最後に、スマホの再起動も試してみる価値があります。一時的な不具合がたまっていると、動作が不安定になることがありますが、電源を切って入れ直すことで改善するケースもあります。大きな操作の前に、一度再起動してみるのも一つの方法です。
スマホを再起動するだけで通話トラブルが直ることはありますか？
通話トラブルの中には、スマホを再起動するだけで改善するものもあります。アプリや通信機能の一時的な不具合が、電源を入れ直すことでリセットされることがあるためです。
ただし、すべての不具合が再起動だけで直るわけではありません。再起動を試したあとも同じ症状が続く場合は、ほかの設定や環境についてもあわせて確認していく必要があります。
格安SIMならではのポイントを確認しよう（APN・VoLTE・対応端末）
基本的な設定を見直したら、次は格安SIMならではのポイントも確認していきましょう。ここでは、よく名前が出てくる「APN」や「VoLTE」といった用語も出てきますが、できるだけやさしい言葉で説明します。
まずは、APN設定です。APNは、インターネットにつなぐための「接続先メモ」のような役割を持っています。格安SIMの会社ごとに、使うべきAPNの情報が決められており、その内容をスマホに登録しておく必要があります。
契約している格安SIMの案内に載っているAPN情報と、スマホの設定画面に登録されている内容が合っているか、確認してみてください。音声通話付きのプランでも、データ通信の設定が合っていないと、全体の動作に影響が出る場合があります。
次に、VoLTEの設定を見てみましょう。VoLTEは、4G回線を使って通話をするための機能です。対応している端末やプランでは、VoLTEをオンにしておくことで、音声が聞き取りやすくなったり、通話の切り替えがスムーズになったりすることがあります。
設定画面のモバイルネットワークや通話の項目に、VoLTEに関するスイッチやチェック項目がある場合は、その状態を確認してみてください。ただし、すべての端末やプランでVoLTEが使えるわけではありません。契約している格安SIMの案内や、公式サイトの説明も合わせて確認しておくと安心です。
また、「動作確認済み端末リスト」の存在も知っておくと便利です。多くの格安SIMでは、自社のサービスで動作を確認したスマホの機種を一覧にして公開しています。自分のスマホがそのリストに載っているかどうかを確かめることで、通話やデータ通信の相性を知る目安になります。
もし、自分の機種がリストに載っていない場合は、すべての機能が問題なく使えるとは限らないことがあります。その場合は、不具合が起きたときに、設定だけでなく端末との相性も視野に入れて考える必要があります。
SIMカードの状態も、念のため確認しておきましょう。スマホの電源を切ったうえで、いったんSIMカードを取り外し、向きや差し込み具合を確かめてから、ていねいに戻します。別の対応端末が手元にある場合は、同じSIMカードを入れて試してみると、SIMカード側の問題かどうかを切り分ける手がかりになります。
通話マークや電波マークに、見慣れない記号が表示されることもあります。たとえば、電話アイコンに斜線が出たり、電波マークに不思議なマークが出たりする場合です。そのようなときは、端末の取扱説明書や、契約している会社の案内ページで、アイコンの意味を確認してみましょう。アイコンの意味を解説している記事を参考にするのも、一つの方法です。詳しい原因や対処方法は通話アイコンに斜線が出るときの解説も参考になります。
APN設定が間違っていると、通話にも影響がありますか？
通話とデータ通信は、基本的には別のしくみで動いています。そのため、多くの場合は、APN設定だけで通話が完全に使えなくなるわけではありません。
ただし、APNの内容が合っていないと、データ通信が不安定になったり、サービス全体の動作に影響が出たりすることがあります。結果として、通話アプリの利用や、通話まわりの一部の機能に影響が出るケースも考えられます。契約している格安SIMの案内にしたがって、正しいAPNを設定しておくことが大切です。
場所や時間帯で変わる「電波の入りやすさ」を考えてみよう
設定を見直しても、場所や時間帯によって通話の調子が変わることがあります。これは、「電波の入りやすさ」や「回線の混み具合」が関係している場合です。
まずは、電波が弱くなりやすい場所の例を見てみましょう。
- ビルの中の奥まった部屋
- 地下にある店舗や駅の構内
- 山間部や人が少ない地域
- 高層階の部屋や、分厚い壁に囲まれた場所
このような場所では、どうしても電波が届きにくくなり、通話が途切れたり、つながるまで時間がかかったりすることがあります。大手キャリアのときには気にならなかった場所でも、格安SIMでは少し差を感じることもあります。
次に、時間帯の影響について考えてみましょう。
- 通勤や通学の時間帯
- お昼休みの時間帯
- 夜の時間帯
多くの人が同じ時間帯にスマホを使うと、同じ回線を利用する人数が増えます。その結果、場所や条件によっては、つながり方に差が出ることがあります。
大手キャリアと格安SIMでは、同じエリアを利用していても、回線の使い方やサービス内容が異なることがあります。そのため、同じ場所でも、会社やプランによって「つながりやすさ」の感じ方が変わることがあります。
通話の不調が気になるときは、「どの場所で」「何時ごろに」「どんな症状が」「どのくらいの頻度で」起きているかを、簡単にメモしておくと役立ちます。あとから契約先のサポートや端末メーカーに相談するときに、状況を具体的に伝えやすくなります。
また、「たまに一度だけ起きる」のか、「ほぼ毎回同じ条件で起きる」のかも大事なポイントです。ごくたまにしか起きない場合は、一時的な回線の混雑や、そのときだけの電波状況が原因のこともあります。一方で、いつも同じ場所・同じ時間に同じ症状が出る場合は、その場所や時間帯の条件が、通話の不調に関係している可能性が高くなります。
混みやすい時間帯は、格安SIMだと通話もつながりにくくなりますか？
利用が集中する時間帯は、格安SIMに限らず、通信が混みやすくなることがあります。事業者やプラン、エリアによって状況は変わりますが、通勤時間帯やお昼休みなど、多くの人がスマホを使う時間には、つながり方に差が出る場合があります。
ただし、「格安SIMだから必ず通話がつながりにくくなる」とは言い切れません。実際の状況は、契約している会社や利用場所によって大きく変わります。自分の利用パターンの中で、「どの時間帯に気になりやすいか」を意識しておくと、原因を考える手がかりになります。
サポートに相談する前に確認したいチェックリスト
ここまでの内容を踏まえて、サポートに相談する前に自分で確認しておきたいポイントを、チェックリストの形でまとめます。ひとつずつチェックしていくことで、自分で解決できることがないかを確認したり、相談するときに状況を整理したりしやすくなります。
まずは、自分で確認できることを一覧にしてみましょう。
- 機内モードがオフになっているか
- モバイルデータ通信がオンになっているか
- 発信制限や通話の拒否設定がオンになっていないか
- 迷惑電話ブロック機能で、相手が誤って拒否リストに入っていないか
- 着信音量が適切な大きさになっているか
- マナーモードやサイレントモードがオンになっていないか
- モバイルネットワークの種類が契約内容に合っているか
- 契約している格安SIMの案内どおりにAPNが設定されているか
- VoLTEの設定が確認できる端末なら、状態を確認したか
- 自分の端末が、動作確認済み端末リストに含まれているか
- 場所や時間帯を変えて試してみたか
- スマホの再起動や、SIMカードの抜き差しを試してみたか
これらの項目を確認しても改善しない場合は、契約している格安SIMのサポート窓口や、端末メーカーに相談することを検討します。そのときに、次のような情報をまとめておくと、状況を説明しやすくなります。
- 不調を感じ始めた時期
- 主に発信がうまくいかないのか、着信が鳴らないのか、通話品質が悪いのか
- どの場所で、どのくらいの頻度で症状が出るのか
- 自分で試した対処方法（設定変更、再起動、場所や時間を変えての検証など）
これらをメモにしておき、相談時に見ながら話せるようにしておくと、スムーズに状況を伝えやすくなります。
相談先の目安として、次のように考えると整理しやすくなります。
- 契約内容や回線の状況が気になる場合は、格安SIMのサポートへ
- 端末そのものの動作が不安定な場合や、ほかのSIMでも同じ症状が出る場合は、端末メーカーへ
どこに相談すべきか迷ったときは、まずは契約している格安SIMのサポートに問い合わせ、状況を説明したうえで、必要に応じて端末メーカーへの相談も検討するとよいでしょう。
確認先のイメージをつかみやすくするために、簡単な表にまとめると次のようになります。
| 項目 | 自分で確認 | 格安SIMのサポートに相談 | 端末メーカーに相談 |
|---|---|---|---|
| 機内モードや音量などの基本設定 | 可能 | 不要な場合が多い | 不要な場合が多い |
| APNの内容やVoLTEの設定 | 設定画面で確認可能 | 不明な点は相談 | 必要に応じて確認 |
| 電波の入りやすさや時間帯の影響 | 場所や時間を変えて確認 | 状況を伝えて相談 | 原則として対象外 |
| 端末の動作が不安定な症状 | 再起動や初期設定の確認 | 状況によって相談 | 詳しく相談 |
このように整理しておくと、「まずは自分でここまで確認し、そのうえで必要なら相談する」という流れがつかみやすくなります。
なお、通話アイコンに表示されるマークが気になるときは、アイコンごとの意味をまとめた解説も参考になります。とくに電話マークに斜線が出ている場合は、通話アイコンに斜線が出るときの原因と対処もあわせて確認してみてください。
サポートに相談するとき、何を伝えればよいですか？
サポートに相談するときは、次のような情報を伝えると状況が伝わりやすくなります。
- いつごろから、どような症状が出ているのか
- 発信、着信、通話品質のどこに問題を感じているのか
- 主にどの場所や時間帯で気になるのか
- 自分でどのような対策を試したか（設定の見直し、再起動、場所や時間を変えた利用など）
これらをあらかじめメモにしておけば、電話やチャットで相談するときも、落ち着いて説明しやすくなります。
まとめ｜あわてず原因をしぼり込むことが大切
格安SIMに乗り換えたあとに「電話の調子が悪いかも」と感じると、不安になってしまうものです。しかし、原因は一つではなく、いくつかの方向から考える必要があります。
この記事では、主に次のようなポイントを確認してきました。
- スマホ本体の基本設定で直ることがないか
- 格安SIMならではの設定や、対応端末の条件が関係していないか
- 場所や時間帯によって、電波の入りやすさや混み具合が変わっていないか
- 端末そのものの不調が疑われる場合がないか
すべてを一度に完璧にしようとせず、できることから順番に試していくことが大切です。チェックリストを見ながら、一つずつ確認していけば、原因の候補を少しずつしぼり込むことができます。
それでも不安が続くときや、自分だけでは判断がむずかしいと感じるときは、契約している格安SIMの公式サイトやサポート窓口を活用しましょう。必要に応じて、端末メーカーに相談することも検討しながら、自分の使い方やよく使う場所に合ったサービスかどうかを、じっくり考えていくことが大切です。
格安SIMは、料金をおさえながらスマホを使う手段の一つです。通話の調子が気になるときも、あわてて解約や乗り換えを決めてしまう前に、原因を落ち着いて整理し、自分にとって安心して使える形を探していきましょう。
格安SIMが自分に合っているか不安なときは、どう考えればよいですか？
格安SIMが自分に合っているかどうかを考えるときは、いくつかの視点から見てみると整理しやすくなります。たとえば、次のようなポイントです。
- 月々の料金が自分の予算に合っているか
- よく使う場所で、通話やデータ通信が問題なく使えるか
- 困ったときにサポートへ相談しやすいと感じるか
これらの点をふり返りながら、自分の使い方とサービスの特徴が合っているかを考えてみましょう。最終的な判断は自分自身で行う必要がありますが、今回のチェックポイントが、その判断材料の一つになれば幸いです。
