切ったりんごが茶色くなるのはなぜ?やさしい理由説明
切ったりんごは、しばらく置いておくと、だんだん茶色くなってきます。見た目があまりおいしそうではないので、気になってしまいますよね。
まずは、この「茶色くなる理由」をやさしく確認しておきましょう。しくみを知っておくと、あとで紹介する対策もイメージしやすくなります。
りんごの中には、色の変化に関わる成分がふくまれています。りんごを切ると、その成分が空気と触れやすくなり、ゆっくりと色が変わっていきます。これが、いわゆる「茶色くなる」現象です。
丸ごとのりんごのあいだは、皮がフタのような役わりをして、空気から中身を守ってくれています。しかし、皮をむいたり、くし形や角切りにしたりすると、中身が空気にふれる面が一気に増えます。そのため、切ったあとのりんごほど、茶色くなりやすいのです。
また、部屋が温かいときは、変色のスピードが早くなることがあります。冷たい場所に置いておくと、色の変化は少しゆっくりになります。温度や湿度によっても、変色する速さに差が出ると考えておくとよいでしょう。
ここで気になるのが、「茶色くなったら、もう食べないほうがいいの?」という点です。りんごが切ってから少し茶色くなっただけの場合、多くは見た目や風味の変化が中心です。食べられない状態になった、という意味ではありません。
ただし、茶色くなることと、傷んでしまうことは別の話です。色だけでなく、見た目・におい・触った感覚など、いくつかのポイントを合わせて確認することが大切です。変なにおいがする、ぬめりがある、カビのようなものが見える、といった変化があるときは、無理に食べないようにしましょう。
このように、りんごの変色は「切って空気と触れたときに起こる自然な変化」だと知っておくと、必要以上に心配しすぎずにすみます。次の章からは、この変色をできるだけおさえるための、具体的なひと工夫を見ていきます。
切ったりんごの茶色い部分は食べても平気?
切ったりんごが少し茶色くなっただけであれば、一般的には、すぐに体に悪いというものではないと考えられています。まずは落ち着いて、見た目やにおい、手でさわった感覚をチェックしてみましょう。
色が少し変わっただけで、においも味もあまり変わっていない場合、多くのご家庭ではそのまま食べているケースが少なくありません。ただし、時間がたつほど風味は落ちていきますので、できるだけ早めに食べ切ることをおすすめします。
一方で、ツンとしたにおいや、いつもとちがうすっぱいにおいがする場合は、傷みが進んでいるサインかもしれません。また、表面がぬめぬめしていたり、どろっと崩れていたり、白や黒のカビのようなものが見える場合も、食べるのは避けたほうが安心です。
茶色くなった部分を切り落として使うこともできますが、傷みの程度がはっきりしないときは、あまり無理をしないことも大切です。「少し変色しているだけなのか」「明らかに傷んでいるのか」を、におい・見た目・触った感じで、いっしょに確認して判断するようにしましょう。
今すぐ食べるときの変色をおさえる簡単テクニック
ここからは、具体的な対策を見ていきます。この章では、「切ってから30分〜数時間のあいだに食べる」場面を想定して、すぐ実践できる方法をまとめます。
おやつに出すとき、食後のデザートとして出すとき、家族や自分の軽い間食として用意するときなど、さっと切ってお皿に盛ることは多いですよね。そんなとき、少しの工夫で変色をおさえることができます。
代表的な方法として、次のようなものがあります。
- レモン水につける
- 砂糖水につける
- 塩水につける
- 真水につけておく
どれも特別な道具はいらず、家にあるものですぐ試せる方法です。それぞれの特徴を、早見表にまとめてみます。
| 方法 | 味の変化 | 手軽さ | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| レモン水 | ほのかな酸味がつきやすい | レモンがあれば簡単 | デザート、ヨーグルトと合わせるとき |
| 砂糖水 | ほんのり甘くなる | 砂糖と水だけでOK | 子どものおやつ、甘めが好きな人向け |
| 塩水 | ごくわずかにしょっぱさを感じることがある | 塩と水だけでOK | 食事の付け合わせ、あっさり食べたいとき |
| 水だけ | 味はほとんど変わらない | いちばん手軽 | とにかくすぐ食べるとき |
レモン水は、レモン汁を水でうすめたものに、切ったりんごを数分ひたすだけです。スプーン1杯ていどのレモン汁をコップ1杯の水で割る、くらいのイメージで大丈夫です。あまり濃くしすぎると酸っぱくなりすぎるので、味見をしながら調整してみてください。
砂糖水の場合は、水に砂糖をとかした中にりんごを入れておきます。こちらも、砂糖を入れすぎるとべたべたしてしまうので、軽く甘みを感じるくらいの濃さがおすすめです。小さなお子さんのおやつなど、少し甘めにしたいときに向いています。
塩水は、ほんの少量の塩を水にとかしたものを使います。塩を入れすぎるとしょっぱくなってしまうので、少し舐めて「少し塩気を感じるかな?」くらいの薄さにとどめましょう。食事の一品としてりんごを出すときや、さっぱり食べたいときに合います。
水だけでも、切った面が直接空気にふれる時間をへらすことができます。変色を完全に止められるわけではありませんが、何もせずに放置するよりも、茶色くなるスピードをおさえることが期待できます。
どの方法を使う場合も、長くつけすぎると水っぽくなったり、味が変わりすぎたりすることがあります。数分〜10分ていどを目安にして、様子を見ながら取り出すとよいでしょう。そのあと、軽く水気をふき取ってからお皿に盛ると、べたべたしにくくなります。
また、切り方によっても変色の見え方が変わります。小さく切るほど空気と触れる面が増えるので、色が変わった部分が目立ちやすくなります。反対に、大きめのくし形にしておくと、切り口の面積が少なく、変色が目立ちにくい場合があります。
食べるまでの時間や、出す相手の好み(甘めが好きか、さっぱりが好きか)によって、方法を使い分けてみるとよいでしょう。
レモンがないとき、切ったりんごの変色はどう防ぐ?
レモン水が良いと聞くけれど、家にレモンがないことも多いですよね。そんなときは、次のような代わりの方法を試すことができます。
まず試しやすいのは、水につけておき、早めに食べてしまう方法です。変色を完全に止めることはできませんが、何もしないよりは、切り口が空気にさらされる時間をへらすことができます。
お酢が少しだけある場合は、水でかなりうすめたお酢を使う方法もあります。ほんのり酸味がつきやすいので、少しだけ入れて味を確かめながら調整しましょう。お酢のにおいが強すぎると感じるときは、無理に使う必要はありません。
また、皮をすべてむいてしまわず、一部だけ残して切る方法もあります。皮が残っている部分は、空気に触れる面がやや少なくなるため、変色が目立ちにくいことがあります。見た目の好みもあるので、家族の反応を見ながら試してみるとよいでしょう。
どうしても変色が気になる場合は、「切ってすぐに出して、すぐに食べてもらう」という割り切り方もあります。完全に茶色を防ぐことにこだわりすぎず、「あるていど防げればOK」と考えると、気持ちもぐっと楽になります。
お弁当に入れる前日準備|茶色くしない保存のコツ
ここからは、「夜のうちに切って、翌日のお昼のお弁当に入れたい」場面を想定した内容です。朝はどうしてもバタバタしがちなので、前日にできる準備をしておきたい、という方は多いのではないでしょうか。
ただ、前日に切ると、どうしても変色や水っぽさが気になりますよね。ここでは、前日夜から翌日の昼までの流れにそって、保存のコツを確認していきます。
まず、前日夜にりんごを切るときは、次のポイントを意識してみてください。
- できるだけ新鮮なりんごを使う
- 種や芯、傷んでいる部分はきちんと取りのぞく
- くし形など、あまり細かくしすぎない大きさに切る
- 軽く変色対策をしておく(レモン水など)
新鮮なりんごほど、翌日までの劣化もゆるやかです。買ってから時間がたっているものより、なるべく状態の良いりんごを選ぶと安心です。すでに一部が傷んでいるものは、その部分を大きめに取りのぞいてから使うようにしましょう。
切ったあと、先ほど紹介したようなレモン水や砂糖水、塩水などを使って、軽く色止めをしておきます。あまり長時間ひたしすぎると水っぽくなるので、数分ていどにしておき、キッチンペーパーで水気をおさえるようにふき取るのがおすすめです。
前日に切ったりんごは、冷蔵庫で保存するのが基本です。常温にそのまま置いておくと、変色だけでなく、傷みも進みやすくなります。
保存の流れの一例は、次のようになります。
- 1. りんごを希望の形に切る
- 2. 軽くレモン水などで色止めをする
- 3. キッチンペーパーで水気をおさえる
- 4. りんごをキッチンペーパーでふんわり包む
- 5. 密閉できる容器やチャック付き袋に入れる
- 6. 冷蔵庫(野菜室など)に入れて保存する
キッチンペーパーで包むことで、余分な水分を吸い取りつつ、りんご同士が直接くっつきすぎないようにできます。また、容器に少しだけすき間がある場合でも、キッチンペーパーがクッションのような役わりをしてくれます。
朝になったら、保存しておいたりんごを取り出し、傷んでいないか軽く様子を見ます。そのうえで、お弁当箱に詰めていきます。
お弁当に入れるときのポイントは、次の通りです。
- 汁もれしにくい場所に配置する
- 他のおかずとくっつきすぎないように仕切る
- 夏場は保冷剤をいっしょに入れる
汁もれが心配なときは、りんごの下に小さく切ったキッチンペーパーや、お弁当用のカップを敷いておくと安心です。ほかのおかずの味やにおいがうつりにくくなり、見た目もすっきりします。
季節によっても注意点は変わります。気温の高い夏場は、保冷剤をいっしょに入れる、日かげに置くなど、全体的な温度管理に気を配りましょう。冬場であっても、暖房の効いた室内に長時間置くとお弁当が温まり、傷みやすくなる場合があります。常温に長時間置きっぱなしにしないよう、全体の管理を意識しておくと安心です。
なお、前日に切ってお弁当に入れるかどうかは、ご家庭ごとの考え方や、保管環境によっても変わります。心配のある場合は、前日は丸ごとの状態で冷蔵庫に入れておき、朝に素早く切る、という方法を選ぶのもひとつです。
お弁当全体の管理や持ち運びやすさが気になる方は、弁当箱の素材別の特徴をまとめたアルミ弁当箱の記事も参考になります。
前日に切ったりんごは、どこでどうやって保存する?
前日に切ったりんごは、基本的には冷蔵庫で保存するのが安心です。特に、冷蔵庫の中でも温度が安定しやすい場所を選ぶとよいでしょう。
家庭によって冷蔵庫のつくりはさまざまですが、多くの場合、野菜室は冷えすぎず、あるていど湿度も保たれています。りんごも野菜室に入れておくと、極端に冷えすぎることを避けながら、傷みにくい状態を保ちやすくなります。
ただし、冷蔵室でも、あまり温度の高くなりにくい奥のほうであれば、問題なく保存できることもあります。りんごを入れておく場所は、普段から冷蔵庫の温度や混雑具合を見ながら、ご家庭で決めておくと迷いにくくなります。
常温での保存は、短時間ならともかく、一晩おいて翌日のお弁当に入れるにはあまり向いていません。気温が高い季節は特に、変色と傷みが進みやすくなるため、なるべく冷蔵庫を使うようにしましょう。
保存するときは、りんごをキッチンペーパーで軽く包み、密閉しやすい容器や袋に入れておくのがおすすめです。空気にあまり触れないようにしておくことで、変色と乾燥をおさえることができます。
食べきれないときの冷凍りんご|長く保存しておいしく使う
りんごをたくさんもらったり、安いときにまとめて買ったりすると、「食べきれないかもしれない」と不安になることがあります。そんなときは、冷凍保存という方法も選択肢に入れてみましょう。
冷凍すると、常温や冷蔵にくらべて、長いあいだ保存しやすくなります。その一方で、解凍したときの食感は変わりやすくなります。シャキシャキした生の食感は弱くなり、やわらかい口あたりになることが多いです。
そのため、冷凍りんごは「生のままそのまま食べる」よりも、「ヨーグルトやシリアルにのせる」「スムージーに入れる」といった使い方と相性がよいと考えておくと、がっかりしにくくなります。
まずは、冷凍の手順を見てみましょう。
- 1. りんごをよく洗い、水気をふき取る
- 2. 皮をむくかどうか決めてから、食べやすい大きさに切る
- 3. 変色が気になる場合は、軽くレモン水などにつける
- 4. キッチンペーパーで水気をおさえる
- 5. バットやお皿に切ったりんごを重ならないように並べる
- 6. いったん冷凍庫に入れ、表面が固まるまで冷やす
- 7. 凍ったら、冷凍用の保存袋に入れて空気をできるだけ抜く
このように、いちどバットなどで「下凍り」させてから袋にまとめると、りんご同士がくっつきにくくなります。あとで少しずつ取り出して使いたいときに便利です。
解凍のしかたや、向いている使い方は次のようなイメージになります。
| 使い方 | 向いている解凍状態 | 食感のイメージ |
|---|---|---|
| そのままおやつとして食べる | 半解凍 | ひんやりシャリっとした食感 |
| ヨーグルトやシリアルにのせる | 半解凍〜自然解凍 | やわらかめで、なじみやすい |
| スムージーやジュースにする | 凍ったまま | 氷の代わりにもなり、冷たい飲みものになる |
半解凍の状態で食べると、シャーベットのようなひんやりした口あたりが楽しめます。完全に解凍するとやわらかくなりますが、ヨーグルトやシリアルと混ぜてしまえば、見た目も食感もそれほど気にならないことが多いです。
スムージーにする場合は、凍ったままミキサーに入れ、他のフルーツや牛乳、ヨーグルトなどといっしょに混ぜます。氷を入れなくても冷たい飲みものになるので、夏場の朝食やおやつにも向いています。
冷凍庫での保存期間は、家庭の冷凍庫の性能や開け閉めの頻度などによって変わります。冷凍してからの期間が短いほど、風味や香りは保たれやすいと考えられます。長く置いておくほど、霜がついたり、味や香りが落ちてしまうことがあります。冷凍庫の中に入れっぱなしにせず、様子を見ながら早めに使い切るようにしましょう。
冷凍したりんごは、どのくらいの期間で食べ切るのが目安?
冷凍したりんごは、家庭の冷凍庫であれば、できるだけ早めに使い切るのが安心です。冷凍庫の開け閉めが多いと温度が上がりやすく、長く置きすぎると品質が落ちてしまうことがあります。
冷凍してからの期間が短いほど、風味や香りは保たれやすいと考えられます。冷凍した日付を書いたラベルを貼っておくと、「いつ入れたか分からなくなってしまった」という事態を防ぎやすくなります。
また、いちど解凍したりんごをふたたび冷凍するのは避けたほうがよいとされています。解凍と再冷凍をくり返すと、食感が大きく変わるだけでなく、品質も落ちやすくなるためです。使う分だけ取り出し、残りは凍ったまま保存しておくようにしましょう。
少し茶色くなったりんごの使い道|見た目が気にならない食べ方
最後に、「もう少し茶色くなってしまったけれど、まだ食べられそう」というりんごの使い道を紹介します。見た目があまりきれいではなくても、工夫次第でおいしく食べ切ることができます。
軽い変色であれば、ヨーグルトやサラダに混ぜてしまう方法があります。りんごだけをお皿に盛ると茶色が目立ちますが、他の材料といっしょにすることで、色の変化がそれほど気にならなくなります。
たとえば、プレーンヨーグルトに、ひと口大に切ったりんごと、少しのはちみつをかけるだけでも、簡単なデザートになります。レーズンやナッツを加えると、見た目も食感も楽しくなります。
サラダにする場合は、レタスやきゅうり、にんじんなどといっしょに、りんごを薄切りにして混ぜ合わせます。りんごのシャキッとした食感とほのかな甘みが、野菜とよく合います。ドレッシングを軽くかけてしまえば、多少の変色はほとんど目立たなくなります。
もうひとつの方法は、電子レンジやフライパンで軽く加熱して、デザートにしてしまうことです。りんごを耐熱容器に入れ、少しの砂糖と水を加えてレンジで温めるだけでも、やわらかく甘いおやつになります。シナモンを少しかけると、風味がぐっと変わります。
フライパンを使う場合は、薄切りにしたりんごをバターや油で軽く焼き、砂糖をまぶしてソテーする方法があります。パンケーキやトーストにのせると、華やかな朝食やおやつになります。
もともとの食感が「少しもさもさしているな」と感じるりんごでも、加熱してしまえばあまり気にならなくなることがあります。見た目や食感がいまひとつなりんごの使い道として、とっておきたいアイデアです。りんごの食感が気になるときの戻し方や活用例は、りんごがもさもさしたときの戻し方と活用レシピの記事も参考になります。
ただし、先ほどもふれたように、変なにおいがする、カビのようなものが見える、どろどろに崩れているといった状態のりんごは、無理に使わないようにしましょう。色だけでなく、全体の状態をよく観察することが大切です。
どんな状態のりんごは、食べるのをやめたほうがいい?
りんごをムダにしたくない気持ちは、多くの人が同じだと思います。それでも、安全に食べるためには、「これはやめておこう」という線引きも必要です。
たとえば、次のような状態が見られるりんごは、食べるのを控える目安になります。
- カビのような白い点や黒い点が見える
- 表面にぬめりがあり、さわると違和感がある
- 強いすっぱいにおいや、いつもとちがう異臭がする
- 軽くさわっただけで、どろっと崩れてしまう
このようなサインがあるときは、変色だけでなく、傷みがだいぶ進んでいる可能性があります。加熱すれば大丈夫、と決めつけず、無理をしないようにしましょう。
逆に、軽く茶色くなっただけで、においも味もあまり変わっていない場合は、見た目が気になるかどうかで判断してもよいでしょう。ヨーグルトやサラダに混ぜたり、加熱してデザートにしたりと、見た目が目立ちにくい形で使い切る工夫をしてみてください。

