奥行きのある青「群青色」の魅力とつくり方
群青色は、深みと上品さを併せ持つ青の一種で、落ち着いた印象を与えたいときや、鮮やかな青では派手すぎる場面にぴったりの色です。
また、深海や澄んだ空を連想させるような静かな表現にも適しています。
しかし、一般的な絵の具には水色や青色があっても、群青色は含まれていないことが多く、「こんな色が欲しいのに」と感じた方も少なくないはずです。
この記事では、色彩に詳しい筆者が、身近な絵の具で手軽に群青色をつくる方法をご紹介します。
誰でも挑戦できるシンプルな混色方法や、群青色の意味合い、他の青系の色との違いもあわせて解説します。
自分で理想の青を生み出す楽しさを、ぜひ体験してください。
群青色の特徴と成り立ち
群青色は、ほんのり赤や紫のニュアンスを含んだ深い青で、「群がる青」という語源を持ち、無数の青の粒が重なったような印象を与える色です。
かつては天然鉱石「藍銅鉱」から得られる高級な顔料で、美術品や宗教画などに使われていましたが、現在は合成絵の具で手軽に扱えるようになっています。
黒を混ぜずに深みを出しているため、透明感もあり、空や海の描写、和風表現、人物の影色など幅広く使われます。
基本の混色レシピ
絵の具で群青色をつくるには、以下の2パターンがあります。
組み合わせ | 混色比率 |
---|---|
水色+赤紫 | 水色4:赤紫1 |
水色+赤 | 水色5:赤1 |
比率を変えながら調整することで、より自分らしい群青色に仕上げられます。
▲水色+赤紫でつくる方法
水色をベースに、少しずつ赤紫を加えることで落ち着いた群青色になります。
赤紫を多めにすると、赤みの強い深い色合いになります。
水色の代わりに青を使うと、より締まった印象になります。
また、水分量を調整すれば透明感や濃さも自在に変えられます。
▲水色+赤でつくる方法
水色と赤を使った方法はシンプルで試しやすいのが特徴です。
赤の量を調整することで、明るめや紫がかった群青色に変化します。
水色がない場合は青と白で代用可能ですが、白は少しずつ加えて調整しましょう。
藍や紺は黒や黄色を含むことがあるため、純粋な青を使う方が仕上がりが美しくなります。
群青色と紺色の違い
群青色と紺色は似ているようで、それぞれ異なる特徴を持ちます。
色名 | 明度 | 特徴 | 使用例 |
---|---|---|---|
群青色 | やや明るい | 赤紫を含む澄んだ青 | 日本画、空や海の描写、茶器 |
紺色 | 暗め | 黒に近く重厚感がある | 制服、スーツ、日常着 |
「ネイビーブルー(濃紺)」という言葉は海軍の制服に由来しており、耐久性にも優れているためファッションでも人気です。
群青色が活きる場面
群青色は静けさと品格を備えた色で、日本の伝統文化にも深く根ざしています。
線画や輪郭に使えば、黒ほど強くなく、柔らかく穏やかな印象を与えます。
自然を描く際にもリアルな空気感を表現でき、他の色とも調和しやすいため、創作活動において非常に重宝する色です。
自分だけの群青色を楽しもう
水色と赤、あるいは赤紫を組み合わせることで、好みに合わせた群青色を自分の手でつくることができます。
色の配合を調整しながら、濃淡や明るさ、赤みの具合を自由にコントロールしてみてください。
イラストやデザイン、絵画など、さまざまな表現に奥深さと感情を与えてくれるでしょう。
あなたの感性で生まれる群青色を、ぜひ楽しんでみてください。