海外からの見知らぬ番号がきたとき、まず落ち着いて知っておきたいこと
海外からのように見える電話番号から、いきなり着信があると、びっくりしてしまいます。画面に見慣れない数字が並ぶと、「これに出て大丈夫?」「お金がたくさんかかったらどうしよう」と不安になる人も多いでしょう。
まず知っておきたいのは、「海外からの電話=必ず危険」というわけではない、ということです。海外に住んでいる家族や友人、海外の会社からの連絡など、正当な理由でかかってくる電話もたくさんあります。
一方で、海外からの電話をよそおった迷惑電話や、不正な請求につながるケースがあるのも事実です。見知らぬ番号からの着信に、少し身構えてしまうのは自然なことです。
大切なのは、「全部安全」とも「全部危険」とも決めつけないことです。慌てて出たり、あわてて折り返したりする前に、落ち着いて確認できるポイントがいくつかあります。
このページでは、海外からの見知らぬ番号に対して、出る前にチェックしたいことや、料金・安全面で気をつけたい基本的な考え方を、やさしい言葉で整理します。
まずは、海外からの電話番号がどのように表示されるのかという「番号のしくみ」から見ていきましょう。
海外からの電話=必ず危ない、というわけではないの?
海外からの電話というだけで、すべて危険というわけではありません。海外在住の家族や、海外に拠点がある会社からの連絡など、普通の用事でかかってくる電話もたくさんあります。
ただし、こちらに心当たりがないのに、突然海外からのような番号が表示された場合は、慎重に考えた方が安心です。特に、夜遅い時間帯や、何度も連続してかかってくる場合は、無理に出ない選択も十分にありえます。
「海外だから絶対に危ない」と決めつける必要はありませんが、「心当たりがなければ慎重でよい」というスタンスで向き合うと、落ち着いて判断しやすくなります。
海外からの電話番号のしくみと、国番号のカンタンな見方
海外からの電話番号は、国内の電話番号と少し表示のルールが違います。見慣れない数字が並んでいても、基本のしくみを知っておくと、どこからの電話らしいのかを、なんとなくイメージしやすくなります。
スマートフォンに海外からの電話がかかってくると、先頭に「+」が付いて表示されることがよくあります。これは「国際電話です」という合図のようなものです。そのあとに続く数字は「国番号」といって、どの国や地域からの電話かを表しています。
たとえば、日本の国番号は81です。日本から海外にかけるときは、先頭に日本の0を付けず、「+81」から始まる番号でかけることがあります。同じように、他の国にもそれぞれの国番号があります。
また、スマホや固定電話から海外にかけるときは、「+」のかわりに「010」などの数字を先頭につける場合もあります。これは、電話会社ごとに決められている「国際電話を使います」という合図の番号です。
海外からの着信があるとき、画面には
- 「+」と数字の組み合わせ
- 見慣れない桁数の電話番号
が表示されることが多いです。ここで、どこの国かを細かく調べなくてもかまいません。まずは、「これは海外からの可能性が高いな」と大まかに知っておくだけでも十分です。
ただし、海外の電話番号をよそおった迷惑電話も存在します。国番号や桁数だけを見て、「この国だから安心」と決めつけないようにしましょう。
電話番号の先頭にある「+」や国番号ってどういう意味?
電話番号の先頭にある「+」は、「これから書かれている番号は国際電話用の形式ですよ」という意味です。そのあとに続いている数字が「国番号」で、「どの国からか」「どの国にかけるのか」を表します。
国番号は世界中で決められていて、同じ番号が別の国で使われることはありません。たとえば、日本なら81というように、それぞれの国に1つずつ割り当てられています。
海外からの電話がかかってきたとき、国番号を細かく調べる必要はありませんが、「+が付いている=国際電話の形式」とだけ覚えておくと、番号の意味が少し分かりやすくなります。
出るか迷ったときのチェックリスト(出る前に確認すること)
海外からのような番号から着信があったとき、「出るべきか」「出ない方がいいか」で迷う場面は多いです。そんなときは、次のようなポイントを順番に確認してみましょう。
まず、自分や家族に海外とのつながりがあるかどうかを思い出してみます。
- 家族や友人が海外に住んでいる、出張に出ている
- 海外に本社や支店がある会社とやりとりしている
- ネット通販やサービスで、海外の会社を利用した
こういった心当たりがある場合は、その相手からの連絡の可能性もあります。一方で、まったく海外とのつながりがない場合は、無理に出る必要はありません。
次に、時間帯や着信の回数もチェックします。
- 深夜や早朝など、不自然な時間帯にかかってきていないか
- 短時間のうちに、何度も連続してかかってきていないか
- ワンコールだけで切れてしまう着信が何度も続いていないか
このようなパターンが続く場合は、受けるよりも、出ずに様子を見る方が安心です。
さらに、事前に連絡が知らされていないかも確認しましょう。
- メールや書類で、「この時間帯に海外から電話します」といった案内があったか
- 海外のサービスを使うときに、「海外番号から連絡が入る場合があります」と書かれていなかったか
こうした情報がある場合は、その会社やサービスからの連絡の可能性が高まります。それでも不安なときは、電話には出ず、自分から公式サイトの連絡先を調べて確認するという方法もあります。
海外からの着信ではなく、電話が「ツーツー」と鳴ってすぐ切れてしまうケースが気になる場合は、原因を整理した電話がつながらないときの解説記事も参考になります。
海外とのつながりがまったくない場合は、どう考えればいい?
海外に家族や知り合いがいない、海外の会社とも特にやりとりをしていない。このような場合は、見知らぬ海外番号からの着信に、無理に出る必要はありません。
気になるとしても、こちらから折り返し電話をかけると、通話料金や安全面での不安が大きくなります。心当たりがない番号であれば、「知らない海外番号からの着信には出ない」と決めてしまうのも、一つの考え方です。
どうしても気になるときは、契約している通信会社のサポートや、身近な相談窓口に相談する方法もあります。自分ひとりで抱え込まず、第三者の意見を聞くことも大切です。
国際電話の料金と安全面で知っておきたい基本
海外からの電話や、こちらから海外にかける国際電話は、国内の電話とは料金の考え方が違うことがあります。具体的な金額や細かい条件は、契約している会社やプランによって変わるため、ここでは一般的な考え方だけを整理します。
まず、国際電話の料金は、
- どの国や地域とやりとりするか
- どの電話会社を利用しているか
- どのサービスやプランを使っているか
といった条件で変わります。国内通話に比べて高くなる場合もあるため、心当たりのない海外番号に、こちらから積極的にかけ直すのは慎重に考えた方が安心です。
次に、安全面の視点です。海外からの着信をよそおった迷惑電話や、詐欺まがいの行為が報告されることもあります。内容をよく理解できないまま指示された操作をすると、不正な請求や個人情報の流出につながるおそれがあります。
料金と安全の両方を考えると、見知らぬ海外番号からの着信に対しては、
- すぐに折り返し電話をしない
- 相手が分からないまま、長時間の通話を続けない
といった慎重な行動が基本になります。
料金について不安がある場合は、契約している通信会社の公式サイトやサポート窓口で、国際電話に関する案内を確認することも大切です。
一度かけ直しただけで高額請求になることはあるの?
「一度かけ直しただけで、とても高い料金を請求されるのでは?」と心配になる人も多いでしょう。実際に、国際電話で料金トラブルが起きたという話が紹介されることもあります。
ただし、「必ず高額になる」と決まっているわけではありません。料金は、利用している電話会社や契約内容、かけた国や通話時間などによって変わります。
重要なのは、心当たりのない海外番号に、軽い気持ちで折り返し電話をしないことです。料金や安全面が気になる場合は、かけ直す前に、契約している通信会社の案内を確認したり、サポート窓口に相談したりする方が安心です。
不審だと感じたときに避けたい行動と、安心につながる対応例
着信が海外からのような番号で、内容や話し方に少しでも不安を感じたときは、「何をしないか」を先に意識すると、安全につながりやすくなります。
たとえば、次のような行動は避けた方がよいとされています。
- 相手がだれかはっきりしないのに、名前や住所、生年月日などを詳しく伝える
- 銀行口座やカード番号、暗証番号など、大切な情報を口頭で伝える
- 相手に言われるまま、スマホやパソコンの操作をする
- よく分からないまま、「今すぐお金を支払ってください」という話に応じる
かわりに、次のような対応を意識すると、落ち着いて行動しやすくなります。
- 相手の名前や会社名、用件がはっきりしない場合は、無理に会話を続けない
- 不安を感じたら、「いったん切って、自分から公式な窓口に確認します」と伝えて電話を切る
- 電話の内容や相手の名乗りをメモしておく
- 家族や職場の人にも相談し、一人で判断しない
ここでは、「してはいけないこと」と「代わりにできること」を、表でまとめてみます。
| してはいけないことの例 | 代わりにできる対応 | 理由 |
|---|---|---|
| 相手がよく分からないのに、名前や住所などを詳しく話す | 相手の名乗りや用件があいまいなら、詳しい話をする前に電話を切る | 個人情報が外部に知られてしまうと、別のトラブルにつながるおそれがあるため |
| 銀行口座やカード番号、暗証番号をその場で伝える | お金に関する話題になったら、その場では回答せず、自分から公式窓口に連絡して確認する | 電話で暗証番号などをたずねる行為は、不正な目的の可能性が高いため |
| よく分からない操作を、その場の指示どおりに行う | 操作を求められたら、「こちらでは判断できないので、確認してからにします」と伝えて操作しない | 指示された操作が、不正アクセスや設定変更につながるおそれがあるため |
| 不安なまま、長時間の通話を続ける | 不安を感じたら、早めに「これ以上は電話では対応できません」と伝えて切る | 会話が長引くと、冷静な判断がしにくくなり、料金も増える可能性があるため |
このように、「しないこと」と「代わりにすること」をセットで考えると、いざというときに落ち着いて行動しやすくなります。
電話に出てしまってから不安になったときは、どうしたらいい?
すでに電話に出てしまい、途中で不安を感じることもあります。その場合は、次のような流れを意識してみてください。
1. 相手の話があいまいだったり、強い口調で急がせてきたりしたら、無理に会話を続けない
2. 「これ以上は電話では対応できませんので、いったん切ります」と伝えて、通話を終える
3. 通話の日時、相手が名乗った名前や会社名、だいたいの内容をメモしておく
4. 家族や職場の人、契約している通信会社、身近な相談窓口などに状況を伝え、意見を聞く
不安になったこと自体は悪いことではありません。少しでも気になる点があれば、一人で抱えこまずに、相談できる相手に話してみることが大切です。
困ったとき・不安なときに相談できる主な窓口の種類
海外からの電話に関する不安や、料金に関する心配があるときは、自分だけで判断せず、第三者の意見を聞くことで、安心につながることがあります。ここでは、主な相談先の「種類」を紹介します。
1つ目は、契約している通信会社の窓口です。
- 携帯電話会社のサポートセンター
- 固定電話を契約している会社の相談窓口
などでは、通話料金や発信・着信の履歴に関する一般的な説明を受けられる場合があります。気になる番号がある場合は、公式サイトに載っている連絡先から問い合わせるとよいでしょう。
2つ目は、身近な消費生活相談の窓口です。
- 訪問販売やネット通販などのトラブルも含めて相談を受けている窓口
- お金や契約に関する不安を、まとめて相談できる窓口
といったところでは、電話だけでなく、関連する請求書やメールなども含めて話を聞いてもらえることがあります。
3つ目として、状況によっては、警察の相談窓口が選択肢になることもあります。犯罪につながりそうだと感じた場合や、身の危険を感じる場合は、早めに地域の警察の相談窓口を確認しておきましょう。
どんな内容なら、相談しても大丈夫?
「これくらいのことで相談していいのかな」と迷ってしまい、相談するのをためらう人も多いです。しかし、次のような場合は、相談を検討してよいタイミングだと言えます。
- 海外からの番号に何度も着信があり、不安が続いている
- 心当たりのない相手から、「料金」や「支払い」に関する話をされた
- 個人情報を少し話してしまい、悪用されないか心配している
- 通話のあとに届いた請求書や通知に、不自然な点があるように感じる
相談窓口の担当者は、同じような不安や疑問の話を日ごろから聞いています。内容をうまく説明できなくてもかまいません。気になっていることをメモに書き出し、「うまく説明できないのですが」と前置きして話し始めても、問題はありません。
海外からの見知らぬ番号に関するよくある質問Q&A
最後に、海外からの見知らぬ番号に関して、よくある疑問をQ&A形式でまとめます。ここまでの内容の復習としても使えます。
Q. 見知らぬ海外番号から着信があったら、必ず出るべき?
A. 必ず出る必要はありません。海外とのつながりがない場合や、不自然な時間帯の着信であれば、そのまま出ないという選択肢も十分にあります。心配なときは、あとで通信会社や相談窓口に相談してみるとよいでしょう。
Q. 見知らぬ海外番号に、こちらから折り返し電話をしても大丈夫?
A. 心当たりがない番号に、すぐ折り返し電話をするのは、料金面と安全面の両方でリスクがあります。どうしても気になる場合は、折り返す前に、契約している通信会社の案内を確認したり、相談窓口に意見を聞いたりすることをおすすめします。
Q. 同じ海外番号から何度も着信があるときはどうすればいい?
A. 何度も連続して着信があると、不安が大きくなります。その場で出るのではなく、通話履歴を残しておき、通信会社や相談窓口に「こういう番号から、何度も着信があります」と伝える方法もあります。一人で抱え込まずに、第三者に相談することが大切です。
SMSで届いたURLは開いても大丈夫?
海外からの電話だけでなく、見知らぬ番号からSMS(ショートメッセージ)が届き、文中にURLが書かれていることもあります。
心当たりがない相手からのSMSや、内容があいまいなメッセージに含まれているURLは、むやみに開かない方が安心です。URLを開くことで、迷惑サイトにつながったり、不正なアプリのインストールを求められたりするおそれがあります。
公式な連絡の場合でも、SMSのURLではなく、検索エンジンなどで自分から公式サイトを探してアクセスする方法があります。不安を感じたときは、「メッセージ内のURLは開かず、自分で公式サイトを探す」という行動を基本にするとよいでしょう。
不審なSMSや見知らぬ番号への向き合い方をより詳しく知りたい場合は、迷惑電話やSMSへの基本的な考え方をまとめた解説ページもあわせて確認してみてください。

