シニア向けスマホでよくある通話トラブルとやさしい直し方｜家族がサポートしやすい手順

シニア向けスマホで通話トラブルが起こりやすい理由

シニア向けスマホは、ボタンが大きかったり、文字が見やすかったりと、「使いやすさ」を意識して作られています。ところが実際には、「電話がかからない」「鳴らない」「声が聞こえにくい」といった相談がよくあります。

まず知っておきたいのは、こうした通話トラブルの原因は、ひとつではないということです。スマホ本体がこわれている場合もありますが、多くの場合は、設定や押し間違い、電波の状況など、いくつかの理由が重なって起きています。

シニア向けスマホでは、誤操作を減らすために「かんたんモード」や「おまかせ設定」が用意されていることがあります。便利な一方で、いつのまにか機能がオフになっていたり、ボタンの表示が変わっていて戸惑う原因になることもあります。

また、通話や着信に関係する設定は、ひとつの画面ではなく、いくつかの画面に分かれていることが多いです。音量、マナーモード、通知、通話の制限、電波の状態など、それぞれ別の場所で確認する必要があります。スマホに慣れていない人にとっては、これが大きなハードルになります。

家族がサポートするときは、「本体」「電波」「設定」の三つに分けて考えると整理しやすくなります。本体がちゃんと動いているか、電波の入りやすい場所か、設定が原因になっていないかという順番で、落ち着いて見ていくことが大切です。

シニア向けスマホはふつうのスマホより通話トラブルが多いの？

シニア向けスマホだけが特別にトラブルが多いとは言い切れませんが、画面の表示やボタンの配置がふつうのスマホとちがうため、慣れるまでに時間がかかることがあります。そのぶん、設定の変化や押し間違いに気づきにくいことが、通話トラブルにつながりやすくなります。

通話トラブルのとき、まず全体のどこを意識して見ればいい？

通話トラブルが起きたときは、「本体が動いているか」「電波は入っているか」「設定が変わっていないか」という三つの視点で考えると整理しやすくなります。ひとつずつ順番に確認することで、原因の見当がつきやすくなります。

電話が「かからない・つながらない」ときのチェックリスト

電話をかけたつもりなのに、相手につながらなかったり、すぐに切れてしまったりすると、とても不安になります。ここでは、シニア向けスマホでよくある「かからない・つながらない」場面を取り上げて、本人と家族が一緒に確認しやすいチェックポイントをまとめます。

まずは、ほんとうに正しい電話番号にかけているかを確認します。似た番号にかけてしまったり、昔の番号をそのまま使っていたりすることもあります。連絡先の登録名と番号が合っているかも、画面を見ながらゆっくり確認してみましょう。

つぎに、通話の制限設定がかかっていないかを見直します。機種によって名前は違いますが、「発信制限」や「特定の番号だけ拒否」といった設定がオンになっていると、電話がつながらないことがあります。シニア向けスマホでは、誤って迷惑電話を受けないようにするための機能が用意されていることもあります。

電波の状態も大切です。圏外マークが出ていたり、「緊急通話のみ」と表示されているときは、ふつうの電話が使えません。建物の中や地下、山の中など、電波が弱い場所では、通話が不安定になりやすくなります。少し場所を変えたり、窓の近くに移動してみるのもひとつの方法です。

また、機内モードがオンになっていないかも確認しましょう。飛行機のマークが出ているときは、通話やモバイル通信が止まっていることがあります。うっかりボタンに触れてオンになってしまうこともあるので、注意が必要です。

以下の表は、よくある症状と、まず見てほしいポイントを整理したものです。家族と一緒に画面を見ながら、当てはまりそうなところを順番にチェックしてみてください。

症状	まず確認したい場所	補足のポイント
まったくつながらない	電話番号、連絡先の内容	登録している番号が古くないかも確認する
相手によってはつながる	通話の制限設定	特定の番号だけ拒否になっていないか見る
すぐに切れてしまう	電波の状態	圏外表示、アンテナの本数、「緊急通話のみ」表示など
時間帯によってつながりにくい	利用している場所と時間	混み合う時間は通信が不安定になることがある

通話ボタンに斜線のマークが出ている場合は、そのマークの意味と直し方をまとめた通話アイコンの解説記事もあわせて確認してみてください。

圏外マークや「緊急通話のみ」の表示がよく出るときは、電波まわりをくわしく説明した圏外トラブルの解説記事も参考になります。

それでも原因がわからないときは、スマホを一度電源から切って、入れ直してみるのもひとつの方法です。再起動によって一時的な不具合がなおることもあります。ただし、何度も電源を入れ直しても改善しない場合は、無理にくり返すのではなく、あとで紹介する相談先に相談することも考えましょう。

通話トラブルのとき、まず何を確認すればいい？

電話がかからないときは、まず正しい番号にかけているかと、電波が入っているかを確認するのがおすすめです。そのうえで、通話の制限設定や機内モードがオンになっていないかを順番に見ていくと、原因に近づきやすくなります。

再起動すると通話トラブルが直ることは多い？

一時的な通信の不具合や、スマホの動きが重くなっているだけの場合は、再起動で改善することもあります。ただし、何度くり返しても変わらない、エラー表示が出るといったときは、早めにショップや公式サポートに相談したほうが安心です。

電話が「鳴らない・気づけない」ときの見直しポイント

「電話が鳴らなかった」と感じていても、実際には鳴っていたのに気づかなかったということも少なくありません。ここでは、「鳴らない」「気づけない」という二つの視点から、見直しておきたいポイントを整理します。

まずは音量の設定を確認します。着信音量が小さくなっていると、同じ部屋にいても気づきにくくなります。スマホの側面にある音量ボタンで調整できる場合もあれば、設定画面から着信音専用の音量を変える場合もあります。着信音量と、動画や音楽などの音量が別々になっている機種もあるので注意しましょう。

つぎに、マナーモードや「おやすみモード」の状態を確認します。ベルのマークに斜線が入っていたり、月や寝ている人のマークが出ている場合は、音が鳴らない設定になっていることがあります。シニア向けスマホでは、ボタンひとつでマナーモードのオン・オフを切り替えられる機種もあり、知らないうちに押してしまうこともあります。

通知の設定も重要です。アプリごとに通知のオン・オフを変えられる機種では、電話アプリの通知がオフになっていると、画面に表示が出なくなることがあります。シニア向けスマホの「簡単ホーム」や「シンプル画面」を使っている場合、表示されるアイコンの数が少ないため、通知に気づきにくいこともあります。

また、スマホの置き場所も見直してみましょう。カバンの奥に入れたままだったり、別の部屋に置いたままだと、音が鳴っていても気づきにくくなります。就寝前に充電するときなど、決まった場所に置く習慣をつけると、家族も見つけやすくなります。

よくある症状と、見直したいポイントを、表にまとめました。

症状	見直す場所	具体的なポイント
音が小さくて聞こえない	着信音量	側面のボタンと設定画面の両方を確認する
まったく音が鳴らない	マナーモードやおやすみモード	ベルや月のマークが出ていないかを見る
画面にも表示が出ない	通知設定	電話アプリの通知がオフになっていないか確認する
近くにいても気づけない	置き場所や持ち歩き方	よくいる場所の近くに置く、バイブもオンにする

着信音そのものを変えるのもひとつの方法です。はっきりした音や、長く鳴るメロディに変更すると、気づきやすくなることがあります。ご本人が聞き取りやすい音を、家族と一緒に試しながら選んでみてください。

着信音や通知の細かい設定を変えたいときは、設定画面の操作手順をまとめた着信設定の解説記事も参考にしてみてください。

着信音量とマナーモードは、どこを見ればオン・オフがわかる？

多くのシニア向けスマホでは、画面の上の部分や設定画面に、音量とマナーモードの状態が表示されています。ベルのマークやスピーカーのマーク、月のマークなどを目安にして、オン・オフを確認するとわかりやすくなります。

着信音を変えると、電話に気づきやすくなる？

着信音を聞き取りやすい音に変えることで、電話に気づきやすくなることがあります。高い音が聞き取りにくい人は低めの音にする、短い音が聞き取りにくい人は長めのメロディにするなど、ご本人に合った音を選ぶことが大切です。

声が「聞こえない・小さい・割れる」ときの原因と対処

電話はつながっているのに、相手の声がよく聞こえなかったり、自分の声が届いていないと言われたりすることがあります。ここでは、「音の大きさ」「音の通り道」「周りの環境」という三つの視点から、原因と対処を整理します。

まずは、通話中の音量を確認します。通話中に側面の音量ボタンを押すと、相手の声の大きさを変えられる機種が多くあります。ホーム画面で音量を上げていても、通話中の音量だけが小さく設定されていることもあるので、実際に通話しながら調整してみましょう。

つぎに、スピーカーやマイクの部分が汚れていないかを見てみます。シニア向けスマホは長く使われることが多く、ポケットやカバンの中でほこりがたまりやすくなります。小さな穴の部分にほこりやゴミがつまると、音がこもったり、聞こえにくくなったりすることがあります。

スピーカー通話のオン・オフにも注意が必要です。画面にスピーカーのマークが出ていて、そこを押すと、スマホ本体から大きな音が出るモードに切り替わります。相手の声をみんなで聞きたいときには便利ですが、周りがうるさい場所では、かえって聞き取りにくくなることもあります。

周囲の環境も、通話の聞こえ方に影響します。風の強い屋外や、人が多い場所では、相手の声より周りの音のほうが大きく聞こえてしまうことがあります。できるだけ静かな場所に移動してから話すことで、通話がしやすくなる場合があります。

相手から「声が遠い」「聞き取りにくい」と言われる場合は、スマホを口から離しすぎていないかも見直してみましょう。マイクの位置を意識して、スマホの下側を手や指でおおわないように持つと、声が届きやすくなります。

相手の声も自分の声も聞き取りにくいとき、どこをチェックすればいい？

相手の声と自分の声の両方が聞き取りにくいときは、通話中の音量設定と、スピーカーやマイクの汚れを優先して確認するのがおすすめです。そのうえで、周りの環境を静かな場所に変えると、改善することがあります。

音の悪さは、スマホの古さが原因のこともある？

長く使っているスマホでは、部品の劣化や、ソフトウェアの影響で音質が落ちてくることもあります。設定や持ち方を見直しても改善しない場合は、ショップや公式サポートに相談して、状態を確認してもらうと安心です。

家族がサポートするときの進め方と伝え方のコツ

シニア向けスマホの通話トラブルは、本人だけで解決するのがむずかしいことも多くあります。そんなとき、家族がそばで手伝ってあげられると、とても心強く感じてもらえます。ここでは、家族がサポートするときの進め方と、伝え方のコツを紹介します。

最初に大切なのは、「何が起きているのか」をあわてずに聞き取ることです。「電話ができない」と言われたときには、「かけられないのか」「鳴らないのか」「声が聞こえないのか」といった具合に、症状を分けて質問してみましょう。症状を分けて聞くことで、どの章に書いてある対処を試せばよいかが見えてきます。

つぎに、実際の画面を一緒に見ながら説明することを心がけます。「そこを押して」と口で伝えるだけでは、どのボタンかわかりにくいことがあります。画面の色や形、「左の下の丸いボタン」など、目印になる説明をそえると伝わりやすくなります。

離れて暮らしている場合は、画面の様子を伝えてもらう工夫が役立ちます。スクリーンショットの撮り方をあらかじめ一緒に練習しておき、わからないときは画面を撮って送ってもらう方法もあります。もしそれがむずかしい場合は、「上のほうに何かマークが出ているか」「どんな言葉が書いてあるか」を、ゆっくり読んでもらうだけでも手がかりになります。

説明するときは、一度にたくさんのことを伝えようとしないことも大切です。ひとつの操作を終えたら、「うまくできたね」と声をかけて、次のステップに進むようにすると、お互いの負担が少なくなります。メモ帳や紙に、手順を書きのこしておくのも良い方法です。

高齢の家族が「うまく説明できない」とき、どんな質問をすると状況がわかりやすい？

「いつごろからそうなった？」「画面にはどんな言葉が出ている？」「電話をかけると、どんな音がする？」といった、時間・画面・音に関する質問をしてみると状況がつかみやすくなります。答えやすい質問から、ゆっくり聞いていくことがポイントです。

遠くに住んでいても、通話トラブルを手伝いやすくするコツはある？

あらかじめ、よく使う操作やボタンの位置を一緒に確認しておき、簡単な「マニュアル」を紙にまとめておくと役立ちます。また、困ったときに電話で読み上げてもらう用のチェックリストを作っておくと、離れていても状況を共有しやすくなります。

自分たちでがんばりすぎないための相談先と注意点

ここまで、自分たちで確認できる通話トラブルの対処を紹介してきましたが、すべてを自分たちだけで解決しようとする必要はありません。無理をせず、困ったときは早めに相談先を利用することも大切です。

主な相談先としては、携帯ショップ、契約している会社の公式サポート、スマホのメーカー窓口、自治体や地域の相談窓口などがあります。それぞれ得意な分野が少しずつ違うので、「どこに聞くとよいか」を知っておくと安心です。

次の表は、代表的な相談先と、得意な内容の例をまとめたものです。

相談先	得意な内容	相談のときに役立つポイント
携帯ショップ	料金プランの相談、機種変更、基本的な操作	実物を見せながら相談できる。混み合う時間は待ち時間が長くなることもある
公式サポート窓口	通話や通信のトラブル、契約内容の確認	電話やチャットで相談できる。契約者本人の情報が必要になることが多い
メーカー窓口	本体の不具合や故障の相談	機種名や購入時期を伝えられるように用意しておくとスムーズ
自治体や地域の窓口	スマホ教室、基本的な使い方の相談	講座や相談会で、ゆっくり教えてもらえることがある

相談に行く前には、「いつから」「どんなときに」「どんな症状が出るのか」をメモにまとめておくと、状況が伝わりやすくなります。画面に出ているマークや表示、エラーの言葉なども、できれば書きとめておきましょう。

また、通話トラブルに便乗して、不安をあおるような電話や勧誘が来ることもあります。知らない番号からの電話にすぐに個人情報を伝えない、契約の話はその場で決めない、といった基本的な心がけも大切です。少しでも不安に感じたときは、一人で判断せず、家族や信頼できる窓口に相談しましょう。

ショップに行く前に、メモしておくと役立つ情報は？

「いつから」「どんな操作をしたあとに」「どのような症状が出るか」をメモしておくと、ショップの担当者が原因を考えやすくなります。あわせて、利用している電話会社、料金プラン、おおよその利用年数などもメモしておくと、話がスムーズに進みます。

困ったとき、どこに電話して相談しても安心？

契約している会社の公式サポート窓口や、スマホメーカーの問い合わせ窓口は、一般的に安心して相談できる連絡先です。公式の連絡先は、スマホの説明書や会社の公式サイトで確認しておき、メモに残しておくとよいでしょう。