在職証明書ってどんな書類？まずはかんたんに全体を知ろう
在職証明書は、その名のとおり「今この会社に勤めています」と伝えるための書類です。
会社名やあなたの名前、入社した日、働き方（正社員・パートなど）といった基本的な情報がまとまっています。
この記事では、在職証明書という言葉を、次のような意味でまとめてよびます。
- 今も勤めている会社が発行する
- 勤務先や勤続年数など、仕事に関する情報が書かれている
- ローンや保育園の申し込みなど、外部の手続きで提出を求められることが多い
実際には「勤務証明書」「雇用証明書」など、少しちがう名前でよばれることもあります。
書類の名前がちがっていても、会社が「この人はうちで働いています」と説明するための紙であれば、このページでは広い意味で在職証明書として扱います。
在職証明書が必要になる場面は、たとえば次のようなときです。
| 場面 | たとえばどんなとき | 相手が知りたい主な情報 |
|---|---|---|
| 住宅ローン | マイホーム購入のローンを申し込むとき | 会社名、勤続年数、雇用形態、収入の目安など |
| 賃貸契約 | 賃貸マンションやアパートを借りるとき | 現在も働いているか、収入は安定しているか |
| 保育園申し込み | 認可保育園などの申し込み手続き | 保護者が働いていること、勤務時間帯など |
| その他の審査 | クレジットカード、奨学金、各種サービスの申し込み | 現在の勤務先や勤務状況 |
似た言葉に「就労証明書」というものがあります。
就労証明書は、主に保育園や自治体の手続きで使われることが多く、働いている時間帯や週の勤務日数など、働き方の細かい情報が求められることがあります。
一方で、在職証明書は、住宅ローンや賃貸契約などで「安定して働いているかどうか」をたしかめるために使われることが多く、書かれる内容はもう少しシンプルなことが多いです。
在職証明書と就労証明書はどう違いますか？
どちらも「働いていること」を説明するための書類ですが、使われる場面や、くわしさが少しちがいます。
在職証明書は、主に勤務先や勤続年数など、基本的な情報を伝えることが目的です。
就労証明書は、勤務時間や日数など、働き方のようすまで細かく伝えることを求められることが多いです。
ただし、実際にどんな項目を書くかは、自治体や会社、金融機関などによって変わることがあります。
迷ったときは、提出先の担当者や、自治体の窓口などに確認したほうが安心です。
会社にお願いする前にしておきたい準備チェックリスト
在職証明書は、会社に「書いてください」とお願いしてから、すぐに出してもらえるとは限りません。会社側にも、担当部署のスケジュールや確認作業があります。スムーズに発行してもらうためには、お願いする前の準備がとても大切です。
スムーズに発行してもらうためには、お願いする前の準備がとても大切です。
ここでは、会社にお願いする前に確認しておきたいことを、チェックリストの形でまとめます。紙やメモアプリなどに整理しておくと、頼むときにあわてずにすみます。
まずは、次のようなポイントを確認しておきましょう。
| 準備しておきたいこと | メモしておくとよい内容 |
|---|---|
| 提出先 | どの会社・団体に出す書類なのか、正式な名前 |
| 使いみち | 住宅ローン、賃貸契約、保育園申し込みなど、主な目的 |
| 提出の期限 | いつまでに提出が必要か、余裕を見た日付もメモ |
| 提出方法 | 原本が必要か、コピーでよいか、郵送か持参かなど |
| 提出先の書式 | 先方指定のフォーマットがあるか、会社の書式でよいか |
| 会社側のルール | 申請の方法、社内の申請書の有無、社内システムの操作方法など |
会社のだれに頼めばよいか、分からないこともあると思います。ふだん人事や総務とあまり接点がない場合は、まず自分の上司に相談してみる方法もあります。
社内イントラネットや就業規則のページに、「在職証明書の発行について」といった案内が出ていることもあります。社内の掲示板やFAQも、一度確認してみると手続きの流れが分かるかもしれません。
在職証明書以外にも、会社にお願いする書類はいくつかあります。会社に書類をお願いするときの基本の流れを知っておくと、今回だけでなく、今後の手続きでも役に立ちます。
在職証明書以外の会社の書類をお願いするときの流れについては、就労証明書を会社にお願いする方法の記事も参考になります。
だれが窓口かわからないときはどうしたらいいですか？
まずは、自分の所属している部署の上司やリーダーに相談してみるのがおすすめです。「在職証明書を出したいのですが、どこにお願いすればよいでしょうか」と、短く用件を伝えると話が進みやすくなります。
社内イントラネットに、人事や総務の連絡先が書かれていることもあります。電話番号やメールアドレス、社内チャットの窓口などがあれば、案内にしたがって問い合わせてみましょう。
上司・総務にお願いするときの基本マナー（口頭・電話・社内チャット）
準備ができたら、いよいよ会社に在職証明書をお願いします。ここでは、上司や総務担当者に、失礼のないように伝えるためのポイントをまとめます。
まず大切なのは、相手の立場や忙しさに配慮することです。人事や総務の担当者は、ふだんから多くの問い合わせや事務作業を抱えています。急ぎの用件であっても、できるだけ余裕をもってお願いするようにしましょう。
口頭でお願いするときは、次のような流れを意識すると伝えやすくなります。
- あいさつ
- 用件（在職証明書を発行してほしいこと）
- 使いみち（住宅ローン、賃貸、保育園など）
- 提出期限
- お礼
たとえば、上司に相談するときは、次のような言い方が考えられます。
住宅ローンの申し込みで在職証明書が必要になりました。
〇月〇日までに提出したいのですが、どこにお願いすればよいでしょうか。
手続きの流れを教えていただけると助かります。
総務や人事に直接お願いするときも、基本的な流れは同じです。社内チャットを使う場合は、長文になりすぎないよう、要点を箇条書きにすると読みやすくなります。
電話でお願いするときは、相手がメモを取りやすいように、ゆっくり話すことを意識しましょう。相手が忙しそうなときは、「ご都合のよいときにメールで流れを教えていただけますか」など、負担の少ない形をえらぶこともできます。
当日中にほしいとお願いしても大丈夫ですか？
どうしても急ぎで必要になることはありますが、当日中の発行をお願いするのは、会社の状況によってはむずかしい場合もあります。
急ぎのときは、「本来であればもっと早くお願いすべきところ、急な依頼になってしまい申し訳ありません」とひとこと添えると、相手への配慮が伝わりやすくなります。
ただし、会社のルールやシステムの都合で、どうしても当日中に発行できないこともあります。その場合は、提出先に事情を説明することも選択肢のひとつです。
メールや文書で在職証明書をお願いするときの文例集
次に、メールや紙の文書で在職証明書をお願いするときの文例を紹介します。ここでは、まずそのまま使いやすい形の例文を示し、そのあとに書きかえるときのポイントを説明します。
社内メールで総務や人事にお願いするときの、シンプルな文例は次のようなイメージです。
（社内メールの例）
いつもお世話になっております。
住宅ローンの申し込みのため、在職証明書の発行をお願いしたくご連絡いたしました。
提出期限は〇月〇日で、金融機関からは「会社名、雇用形態、入社日、勤続年数が分かる書類」と案内されています。御社指定の書式がございましたら、その形式で発行いただけますと幸いです。
お忙しいところ恐れ入りますが、発行の可否と手続きの流れについて、ご教示いただけますでしょうか。
どうぞよろしくお願いいたします。
賃貸契約や保育園の申し込みなど、使いみちがちがう場合は、目的の部分だけを入れかえて使うことができます。派遣社員や出向中の方が、派遣元や出向元の会社にお願いするときは、相手との関係性をふまえて、あいさつ文を少し調整するとよいでしょう。
紙の文書でお願いする場合は、日付や宛名、差出人の名前と押印などが必要になることがあります。社内のルールにしたがい、指定の様式があれば、そのとおりに記入します。
文例を自分用に書きかえるときは、次のポイントを意識すると、読みやすくなります。
- 用件は、できるだけ早い段階で書く
- 使いみちは一文で伝える
- 期限は具体的な日付で書く
- 相手に確認してほしいこと（書式の有無など）は、箇条書きにする
文例はそのままコピペして使ってもよいですか？
文例をそのまま使うこと自体は、特に問題になることは少ないでしょう。ただし、あなたの状況に合っていない部分があると、読み手が戸惑うことがあります。
たとえば、提出期限や使いみち、相手との関係性などは、人によって大きくちがいます。文例をコピーしたあとで、自分の状況に合わせて少し手を入れることをおすすめします。
住宅ローン・賃貸・保育園など場面別のポイントとスケジュール感
在職証明書が必要になる場面によって、相手が知りたい情報や、意識しておきたいポイントは少しずつちがいます。ここでは、代表的な場面ごとに、気をつけたい点とスケジュールの目安をまとめます。
おおまかなイメージは、次のようになります。
| 場面 | 気をつけたい主な点 | 会社に頼むタイミングの目安 |
|---|---|---|
| 住宅ローン | 勤続年数や雇用形態など、安定して働いているかどうか | 申し込みの案内を受けたら、できれば2〜3週間前までに会社へ依頼 |
| 賃貸契約 | 家賃を支払える見込みがあるかどうか | 入居申込書を出す前後のタイミングで、1〜2週間前を目安に依頼 |
| 保育園申し込み | 保護者が働いていること、勤務時間帯など | 勤務証明が必要かどうかを自治体で確認し、書類締切の2〜3週間前を目安に依頼 |
| その他の審査 | サービスによって確認したい情報がちがう | 案内にしたがい、できるだけ早めに依頼 |
住宅ローンの場合は、勤続年数や雇用形態がポイントとして見られることがあります。どのように判断されるかは金融機関ごとにちがうため、くわしい基準は金融機関に確認する必要があります。
賃貸契約の場合は、家賃を支払い続けられるかどうかを確認するために、在職証明書や収入に関する書類を求められることがあります。契約手続きは時間が限られやすいので、入居申し込みの流れが決まった段階で、早めに会社への依頼を準備しておきたいところです。
保育園の申し込みでは、就労状況を確認するために、在職証明書や勤務証明書が必要になることがあります。自治体ごとに書式や出してほしい情報がちがうため、先に自治体の案内をよく読み、必要な書類と締切を確認してから会社にお願いするとスムーズです。
住宅ローン用と保育園用で在職証明書の内容は変わりますか？
提出先がちがうと、求められる情報や書式が変わることがあります。金融機関や自治体が独自のフォーマットを用意している場合は、その書式にしたがう必要があります。
会社にお願いするときは、「住宅ローンの申し込みで使う書類です」「保育園の申し込みで自治体に提出する書類です」など、使いみちを一言そえておくと、担当者もイメージしやすくなります。
よくあるトラブルと対処法（間に合わない・書き方を直してほしいときなど）
在職証明書をお願いするときは、思ったより時間がかかったり、書き方について気になる点が出てきたりすることもあります。ここでは、よくある困りごとと、そのときに考えられる対処をまとめます。
代表的なトラブル例を、表の形で見てみましょう。
| よくある困りごと | まず試してみたい対処 |
|---|---|
| 提出期限までに発行が間に合わないと言われた | 事情を説明し、最短でいつ頃になりそうか教えてもらう。提出先にも、会社のスケジュールを伝えて相談することを検討する |
| だれにお願いすればよいか分からない | 上司や総務に「窓口を教えてほしい」と相談する。社内イントラネットの案内も確認する |
| 書類の内容に誤りを見つけた | 誤りの箇所をはっきり示し、言い方を工夫しながら修正をお願いする |
| 何度も書類をお願いするのが心配 | まとめてお願いできるものがないか確認する。今後使いそうな書類があれば一緒に相談する |
提出期限が近づいているときは、あせってしまいがちです。しかし、担当者もすぐに対応できないことがあります。まずは、いつ頃発行できそうかを確認し、そのうえで提出先に事情を伝えるかどうかを検討します。
書類の内容に誤りがあった場合は、「ここがちがうのではないか」と責めるような言い方ではなく、「こちらの理解と少し数字がちがうように見えました」など、ていねいな言い回しをえらぶと、お互いに気持ちよく修正を進めやすくなります。
提出期限に間に合わないと言われたらどうすればいいですか？
まずは、会社側のスケジュールや事務の流れを確認し、最短でいつ頃になるかを教えてもらいましょう。そのうえで、提出先の担当者に相談するかどうかを考えます。
提出先によっては、「理由が分かれば少し期限を延ばせる」「とりあえず別の書類で確認する」といった対応をしてくれることもあります。一方で、締切が厳格に決まっている手続きもあります。
どこまで対応してもらえるかは、提出先の判断によります。あせる気持ちがあっても、落ち着いて事情を説明することが大切です。
在職証明書をお願いするときのよくある質問Q&A
最後に、在職証明書をお願いするときに、よくある質問をまとめます。ここでは、本文の中でふれきれなかった、少し気になりやすい場面を中心にとり上げます。
アルバイトやパートでも在職証明書をお願いできますか？
アルバイトやパートの方でも、在職証明書をお願いできる場合はあります。住宅ローンや賃貸契約、保育園の申し込みなどで、「現在の勤務先を証明する書類が必要です」と案内されることがあるためです。
ただし、会社ごとに発行のルールや、書式が用意されているかどうかはちがいます。まずは勤務先に、「在職証明書や勤務証明書を発行していただくことはできますか」と相談してみるとよいでしょう。
試用期間中でも在職証明書を書いてもらえますか？
試用期間中であっても、会社によっては在職証明書を出してもらえることがあります。ただし、試用期間中であることが書類に記載されるかどうか、会社の判断が分かれることもあります。
提出先が何を確認したいのかによって、必要な情報は変わります。気になる場合は、提出先の担当者にも、「試用期間中ですが、このまま申し込みを進めてもよいでしょうか」と確認しておくと安心です。
退職が決まっている場合も在職証明書は出してもらえますか？
退職日が決まっている場合でも、在職証明書を発行してもらえることがあります。ただし、退職予定日が書類に記載されるかどうかは、会社の方針によってちがいます。
住宅ローンや賃貸契約などでは、今後の勤務状況が重要になることがあります。くわしい取り扱いは、金融機関や不動産会社など、提出先の判断によります。
そのため、会社にお願いするときだけでなく、提出先にも「退職予定があることを伝えたうえで手続きができるか」を相談しておくと、あとで行きちがいを減らしやすくなります。
